さぁ、残り50ヤードのアプローチショット!ベストポジションをキープしましたね。
ゴルフのTV中継を見ていると、解説者は「ヤード」という単位を頻繁に口にします。
スポーツにおけるゴルフの世界では、距離の基準となる単位がヤードとなっている為です。
これはゴルフだけでなくアメリカンフットボールなどもヤード単位が使われている事で有名です。
しかし、日本人は「尺」・「寸」などの独特の単位を使うこともありますが、基本的に使用する長さの単位は「メートル(m)」か「センチメートル(cm)」ですね。
では、このヤードはメートルやセンチメートルに換算するといったいどの位の長さなのでしょうか?
例えばゴルフのラウンド中。
「残り30ヤードにつけたぞ!」
と言っては見ても、
「30ヤードってどれくらいなんだろうな?」
という思いも同時に抱いている方も多いのではないでしょうか。
実際に1ヤードはどのくらいの長さなのでしょうか?
まず簡潔に答えからチェックすると1ヤードをメートルに換算した場合、1ヤードは「0.9144メートル」となります。
※1ヤード=0.9144メートル
これはメートル法が国際的な長さとしての単位の基準となっていることから明確に0.9144mという数値が規定されている訳です。
尚、1ヤードをセンチメートル(cm)単位に換算すると91.44センチメートルとなります。
※1ヤード=91.44センチメートル
今後、もし「1ヤードは何メートル?」という話題があがった場合には、「約91センチくらいだよ」と答えておくとわかりやすいかと思います。
「詳しくは91.44センチらしいんだけどね、自分は約90センチ位って覚えてるよ」
とより細かく答えても親切であっても嫌味には感じないでしょう。
これはその人が知りたいのは、約90センチくらいという自分が把握している単位でのおおよそのイメージであるケースが多い為です。
ゴルフのラウンドをしているとグリーン周りのアプローチショットで残り何ヤード残っているのかを確認しショットを打つことになります。
残り90ヤードのアプローチショットや残り40ヤードのアプローチショット。
毎回普通にラウンドしていれば何度でもこのアプローチショットのシーンは訪れます。
またTグラウンドでは、そのホールのヤード数が記載されておりますね。
ゴルフ練習場などは全てヤードでの表記となっている為、既にヤードを基準としてクラブを選択している方が大半でしょう。
しかし初心者のかたは、メートルの換算でイメージできるようになればそのコースの長さをイメージしやすくなるかもしれません。
尚、ヤードをメートルに換算する方法の中でも最も簡単な換算法は、メートル数に「0.9」をかける簡易換算法です。
400ヤードのパー4のコースの場合は400×0.9=約360mとイメージができます。
頭の中で計算する場合は4×9=36で約360メートルちょっとというイメージでも良いでしょう。
ゴルフなどヤード単位を基準とするスポーツを行っている方の場合は、以下に換算早見表を作ってみたので一度ゆっくりチェックしてみて下さい。
【ヤード・メートル・フィート換算早見表】 | |||
---|---|---|---|
ヤード(yard) | メートル(m) | フィート(ft) | センチメートル(cm) |
1ヤード | 0.9144m | 3ft | 91.44cm |
10ヤード | 9.144m | 30ft | 914.4cm |
20ヤード | 18.288m | 60ft | - |
30ヤード | 27.432m | 90ft | - |
40ヤード | 36.576m | 120ft | - |
50ヤード | 45.720m | 150ft | - |
60ヤード | 54.864m | 180ft | - |
70ヤード | 64.008m | 210ft | - |
80ヤード | 73.152m | 240ft | - |
90ヤード | 82.296m | 270ft | - |
100ヤード | 91.44m | 300ft | - |
200ヤード | 182.88m | 600ft | - |
300ヤード | 274.32m | 900ft | - |
400ヤード | 365.76m | 1200ft | - |
500ヤード | 457.20m | 1500ft | - |
アメリカでは長さの単位の現実的な基準は未だヤードが主流です。
メートル法を導入する加盟国でありながら単位の変革に足踏みしているアメリカの理由には一体どのような背景があるのでしょうか?
ヤードという単位はよく耳にする単位でもありますが、実際のところ日本人には馴染みの薄い単位であることは間違いないでしょう。
頻繁にゴルフを行っている方の場合はヤードという単位に馴染みが深い方も多いかもしれませんが、やはり一般的に広く普及している単位ではありません。
実際にヤードが単位であることを理解はしていても、1ヤードがどの程度の長さの単位であるのか?という肝心の距離に関しては意外と知らない人が多いのもその理由です。
日本で一般的に使用されている距離の単位はメートル。重さはグラムと呼ばれる単位です。
これは、旧計量法によって1959年1月1日より「ヤード・ポンド法」及び「尺貫法」の使用が禁止され、メートル法のみを使用することが明確に定められた歴史がある為です。
尚、計量法とは国際的な計量基準(国際単位系SI)の統一と適正な計量の実施を確保する目的において制定された法律です。(現在の計量法は1992年に改定が加えらたもの)
尚、アメリカやイギリスは距離及び重さの単位の基準がメートルやグラムではなく「ヤード」や「ポンド」を指標とするヤード・ポンド法と呼ばれる単位系が主流となっていた時代がありました。
今も尚、このヤード単位が多く使用されているのは、このような歴史的な背景も関与している事を把握しておきましょう。
現在、このヤード単位が最も国民に定着している国は間違いなくアメリカ合衆国です。
アメリカ合衆国では基本的に世界的な国際基準となっている長さの単位である「メートル」を使用することが法律で決められており、実際にアメリカ合衆国はメートル法条約の加盟国でもあります。
しかし、現実的には今も尚、アメリカ合衆国内では長さの単位としてヤード単位が圧倒的に定着しているという現実があります。
この最大の原因は、製品や商品などあらゆる長さの表記に関して「ヤード単位」の記載を黙認している点にあります。
※Point!アメリカでは経済流通市場においてもヤード記載を容認
通常はひとつの国家の中で複数の単位が存在するようなことは経済流通状からもあまりよろしい状態であるとは言えません。
もし、日本国内でメートルやヤードの表記がばらばらであったならあらゆる面で不便を感じるはずです。
アメリカ国民も当然そのような思いを抱いている部分もあるはずです。しかし実際は民族的な意識面の定着があり日本のようにメートル以外の単位の表記について規制をかける事ができないという実情もあるのです。
「あと30ヤードほど飛距離がアップしないかなぁ…」
「パー4の400ヤードでパーをセーブできるかがゴルフのスコアで100を切れるかどうかのポイントだ!」
「いやいやパー5のロングホールでボギーまでに抑えられたなら必ず100どころか90は切れるよ」
実際に耳にしたことがありそうな言葉を並べてみましたがゴルフの世界ではやはり「ヤード単位」が日本でも標準になっておりますね。
余談ですが、ゴルフの発祥の歴史に関しては様々な説が飛び交っており、実際にゴルフの発祥の歴史・起源について正確に調べる事は既に困難な状況となっているそうです。
しかし、小動物の巣穴にボールを入れて遊んでいたというゴルフのグリーン上のパターに近い遊びがゴルフの起源であるという説はとても有名な話です。
うさぎの巣穴やモグラが掘った穴を塞ぐ為に当時の農家の人たちが遊び半分で農作業の道具を使いながらボールを穴に入れて遊んだという話もあります。
そして、どの程度の距離まで1回で入れることができるか?と遊びに距離、いわゆるヤード単位が加わり、その後、何回で入れる事ができるか?という「ルール」が少しずつ加わっていったそうです。
このように日常生活の退屈しのぎ、余暇の手段として行われていた習慣的な行動にルールが加わってスポーツ競技化したものはゴルフに限らず多くのスポーツ競技があります。
ヤード単位を使用する代表的なスポーツのひとつにアメリカンフットボールがあります。
日本ではアメリカンフットボールの認知度はまだ低いのが現状ですが、日本で行われているアメリカンフットボール競技はもちろんヤード単位で試合が行われております。
このようにアメリカやイギリス発祥のスポーツが日本にヤード単位を浸透させた影響の大きさは計り知れません。
しかしやはり、ヤードという単位が日本で定着した最大の根源はゴルフにあると言えるでしょう。
尚、日本国内でゴルフを行う場合はいっそのことメートル単位を使ってしまえばよりシンプルで解りやすくなるのに…
そんな風に思われた事がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は日本のゴルフ界ではヤード表示を全て廃止しゴルフに関わる表示について、「メートル表示を基準」として競技を行なっていた時代が存在します。
このゴルフ競技においてメートル法が採用されたのたのは1976年(昭和51年)から8年間の期間です。
日本のゴルフ界でメートルによる表記に統一された背景には当時の通産省(現経済産業省)が単位の統一に注力を注いでいた事が原因にあります。
通産省ではメートル法の統一措置の一環としてゴルフにおいてもメートル単位への統一を行ったのです。
尚、この通産省の試みは結局メートル単位がゴルフに定着しなかった為、現在のゴルフでは大半がヤード表示に戻っております。
ですから現在はゴルフに関しては法律的にヤード・メートル双方の表記が認められている事になりますが、メートル表記でも良いというのは当時の通産省の試みの名残と言えるかもしれません。
但し、現実的にはやはり、ヤードを改めてメートルに換算して表記しているゴルフ場はほとんどありません。
これはゴルフ競技で使用される単位はコースに関してもクラブの飛距離に関しても「ヤード」が標準であるべきという認識が既に定着している証とも言えるでしょう。
ゴルフのTV中継を見ていると特に違和感を感じる事はないかもしれませんが、距離の単位についてよくよく考えてみると不思議に思うことがひとつあります。
それはTグラウンドでは「460ヤードパー4の右ドッグレッグのコースです。」とヤードで解説しているにも関わらず、グリーン上にボールが乗ると、「残り何メートルの難しいラインのパットですね。」と解説者が使用する単位がヤードからメートル単位に変化する点です。
ゴルフ経験のある方はおそらくグリーンに乗るまではヤードと言う単位を口にしているはずです。
しかしグリーンに乗ると残り何ヤードという言葉はおそらく誰も使いません。
「これは4メートルくらいのパットかな?」
「カップまで30センチのパットだな。」
と言ったようにグリーン上に乗ると「メートル」・「センチメートル」というメートル法による単位がたちまち標準単位へと変化するのです。
ひとつのスポーツ競技において同じ距離を示す単位が複数存在しているのは多くのスポーツ競技の中でも珍しいケースです。
ゴルフ競技においては前述したように長い距離の場合はヤード、短い距離、特にグリーン上ではメートル単位が使用されます。
何とも不思議な話ではありますが、残りの距離や場面によって使用される単位が異なるスポーツは珍しいケースです。
メートルとセンチメートルは兄弟ですが、メートルとヤードは長さの基準そのものが異なります。
このあたりは、前述したゴルフ競技でヤード単位の使用が廃止された8年間の影響が少なからず残っていると言えるかもしれません。
尚、アメリカンフットボールでは、残り1ヤードまではヤード表記ですが、1ヤードを切ると「あと20cm~30cmでしたねぇ」とメートル法で解説がなされている場面を見かけるケースもあります。
このように細かい距離が残った場合には解りやすいように日本で馴染みの深いメートル法による表記が行われるケースがあるという事ですね。